RSUで確定申告が不要なケース|源泉徴収済みの判断基準
はじめに
RSU(Restricted Stock Units)を保有している会社員の方にとって、「確定申告が必要かどうか」は重要な関心事です。正確な判断をすれば、不要な申告作業を省くことができます。本記事では、RSUを持つ場合の確定申告不要の条件を詳しく解説します。
確定申告不要の基本条件
給与所得者の確定申告不要条件
RSUを含む給与所得者が確定申告不要となるには、以下の条件をすべて満たす必要があります:
条件1:1箇所から給与を受け取る
- 年間を通じて1つの勤務先から給与を受け取る
- 転職した場合は原則として確定申告が必要
条件2:源泉徴収が完了している
- 全ての給与について年末調整が完了
- RSU分も源泉徴収済みであること
条件3:給与所得控除後の金額が2,000万円以下
- 高額所得者は確定申告が必要
条件4:他の所得が20万円以下
- 譲渡所得、雑所得等の合計が20万円以下
RSU特有の考慮点
RSUの場合、以下の点に注意が必要です:
| 項目 | 給与所得 | 譲渡所得 |
|---|---|---|
| 権利確定時 | ○ 給与所得 | - |
| 売却時(特定口座) | - | × 分離課税 |
| 売却時(一般口座) | - | ○ 申告必要 |
確定申告が不要な具体的ケース
ケース1:基本的なパターン
状況:
- 1社に勤務(年間)
- RSU権利確定あり(源泉徴収済み)
- RSUは権利確定直後に売却(特定口座使用)
- 他の所得なし
判断: ✅ 確定申告不要
理由:
- 給与所得は年末調整で完結
- 譲渡所得は特定口座の分離課税で完結
- 他の所得が20万円以下
ケース2:米国株RSUの場合
状況:
- 米国企業に勤務
- RSU権利確定あり(米国で30%源泉徴収)
- 日本でも給与所得として処理
判断: ✅ 確定申告不要(条件付き)
条件:
- 1社勤務のみ
- 日本での源泉徴収も完了
- 二重課税調整は申告が必要な場合も
注意: 外国税額控除を受けたい場合は確定申告が必要
ケース3:RSUを保有のみの場合
状況:
- 1社に勤務
- RSU権利確定あり(源泉徴収済み)
- 売却せず保有継続
- 配当金が年20万円以下
判断: ✅ 確定申告不要
理由:
- 権利確定時の課税は源泉徴収で完結
- 未売却のため譲渡所得なし
- 配当金も20万円以下なら申告不要
確定申告が必要なケース
複数勤務の場合
以下の場合は確定申告が必要:
| 状況 | 理由 |
| 転職した年 | 2箇所以上から給与を受け取る |
| 副業で給与を受け取る | 合計給与が200万円超の場合 |
| 複数社からRSUを受け取る | 各社の源泉徴収率が異なるため |
譲渡所得がある場合
確定申告が必要な状況:
- 一般口座で売却した場合
- 特定口座(源泉徴収あり)以外で売却
- 譲渡所得として申告が必要
- 損失を繰り越す場合
- 譲渡損失を翌年以降に繰り越す
- 他の譲渡所得と通算する
- 譲渡所得が20万円超
- 給与所得以外の所得が20万円超
控除・還付を受けたい場合
以下の場合は積極的な申告がおすすめ:
- 外国税額控除(米国株RSU等)
- 医療費控除(年間10万円超の医療費)
- 寄付金控除(ふるさと納税等)
- 住宅ローン控除(初年度や条件変更時)
確認すべきポイント
勤務先の確認
□ 年間1社のみ勤務
□ 転職年は申告が必要
□ 副業による給与が200万円以下
所得の確認
□ 給与所得控除後の金額が2,000万円以下
□ 給与以外の所得が20万円以下
□ 配当金・譲渡所得の合計が20万円以下
口座の確認
□ 株式売却は特定口座(源泉徴収あり)を使用
□ 一般口座を使用している場合は申告が必要
□ 複数の証券会社を使用していないか確認
申告不要でも注意すべきこと
源泉徴収税額の確認
年末調整で還付や追加徴収がないか確認:
- 還付の場合:1月〜2月に口座へ振込
- 追加徴収の場合:12月給与で天引き
住民税への影響
RSU分も含めた給与所得が、翌年の住民税の基準になります。
例:
- 2025年のRSU権利確定分 → 2026年6月からの住民税に反映
- 高額なRSUがある場合、住民税が増加
社会保険料への影響
RSUにより標準報酬月額が変動する場合:
- 健康保険料の変更
- 厚生年金保険料の変更
- 9月頃の定時決定で調整
まとめ
RSU保有者の確定申告不要の条件:
| 項目 | 不要な場合 | 必要な場合 |
| 勤務先 | 1社のみ | 2社以上 |
| 給与所得 | 2,000万円以下 | 2,000万円超 |
| 他の所得 | 20万円以下 | 20万円超 |
| 売却口座 | 特定口座(源泉徴収あり) | 一般口座 |
最終チェック:
- ✅ 1社勤務のみ
- ✅ 源泉徴収完了
- ✅ 所得金額基準を満たす
- ✅ 特定口座で売却
条件に該当する場合、確定申告は不要です。ただし、還付を受けたい場合は申告することを検討してください。