転職時のRSUはどうなる?|権利確定と税金の関係
はじめに
転職を考えているRSU保有者にとって、「今のRSUはどうなるのか」は重要な関心事です。未権利確定のRSUがある場合、転職先での取り扱いや、税金面での影響を事前に理解しておく必要があります。本記事では、転職時のRSUの取り扱いと税金の関係を詳しく解説します。
転職時のRSUの基本的な扱い
前職のRSUの3つのパターン
転職時、前職でもらったRSUは以下の3つのパターンに分類されます:
| パターン | 説明 | 結果 |
|---|---|---|
| 失効 | 未権利確定分が全て失効 | RSUは消失 |
| 継続 | 権利確定スケジュールが継続 | 転職後も権利確定 |
| 加速 | 退職時に権利確定が加速 | 一括権利確定 |
失効が一般的
多くの企業では、自己都合による転職の場合、未権利確定のRSUは失効します。これはRSUが「勤続奨励」の性質を持つためです。
失効するもの:
- 未権利確定のRSU
- パフォーマンスベストの未達成分
失効しないもの:
- すでに権利確定済みのRSU
- 一部企業の特別な規定による継続分
転職年の税金計算
複数勤務先からの給与所得
転職年は前職と現職の両方から給与を受け取るため、確定申告が必要な場合があります。
確定申告が必要なケース:
| 状況 | 申告の必要性 |
| 2箇所以上から給与を受け取る | 原則として必要 |
| 給与所得控除後の金額が2,000万円超 | 必要 |
| 副所得(譲渡所得等)が20万円超 | 必要 |
RSUを含めた所得計算
具体例:
【2025年の所得例】
前職(1月〜6月):
- 現金給与:4,000,000円
- RSU権利確定:2,000,000円
- 源泉徴収:完了済み
現職(7月〜12月):
- 現金給与:5,000,000円
- RSU権利確定:1,000,000円
- 源泉徴収:完了済み
合計給与所得:12,000,000円
→ 確定申告が必要
源泉徴収の問題点
複数勤務先がある場合、それぞれの企業が独立して源泉徴収を行うため、本来よりも低い税率で徴収されることがあります。
具体例:
企業A(年収見込み800万円として計算):
→ 税率約15%
企業B(年収見込み500万円として計算):
→ 税率約10%
実際の合計年収1,300万円に対する税率:
→ 税率約20%
→ 5%分の追加徴収が必要
転職先でもRSUを受け取る場合
2社分のRSUがある場合の確定申告
転職先でもRSU制度がある場合、2社分のRSUを受け取ることになります。
注意点:
- 2社の源泉徴収票が必要
- それぞれのRSU明細書を保管
- 合算した課税所得で計算
確定申告の手順:
- 書類の収集
- 前職の源泉徴収票
- 現職の源泉徴収票
- 両社のRSU明細書
- 所得の集計
`
給与所得A(前職):○○○万円
給与所得B(現職):△△△万円
合計給与所得:□□□万円
`
- 税額の計算
- 合計所得に対する税額を計算
- すでに源泉徴収された税額を控除
- 差額を納税または還付
米国企業への転職の場合
日本企業から米国企業へ転職する場合、以下に注意が必要です:
税金面のポイント:
| 項目 | 日本企業 | 米国企業 |
| 給与所得 | 日本で課税 | 日本でも課税(居住者の場合) |
| RSU | 日本で課税 | 米国と日本で課税(二重課税) |
| 外国税額控除 | 不要 | 必要 |
二重課税の回避:
- 米国で源泉徴収された税金は日本で控除
- 確定申告で外国税額控除を申請
- 租税条約に基づく調整
転職時のRSU交渉
インセンティブの継承
転職交渉時に以下を検討できます:
交渉可能な事項:
- 未権利確定RSUの買取(Buyout)
- 転職先でのRSUの早期授予
- サインオンボーナスでの補填
具体例:
【交渉例】
失効予定の未権利確定RSU:
- 時価総額:300万円
転職先への提案:
- サインオンボーナス:300万円
- または、早期VestingのRSU:300万円相当
失効RSUの損失は認められない
残念ながら、転職により失効したRSUについては、税金上の損失として認められません。
理由:
- RSUは権利確定するまでは「権利」でなく「期待」
- 所有権が移っていないため損失として扱えない
- 給与所得の減少としても扱えない
転職時のチェックリスト
退職前に確認すること
□ 未権利確定RSUの株数と権利確定予定日
□ 転職時のRSUの取り扱い(失効/継続/加速)
□ すでに権利確定済みのRSUの管理方法
□ 必要な書類(明細書、源泉徴収票等)
転職後に行うべきこと
□ 証券口座の移管または新規開設
□ 権利確定済みRSUの売却計画
□ 確定申告の準備(複数勤務の場合)
□ 新しいRSU制度の理解
確定申告の準備
□ 前職の源泉徴収票(翌年1月頃に発行)
□ 前職のRSU明細書
□ 現職の源泉徴収票
□ 現職のRSU明細書
□ 証券会社の年間取引報告書(売却がある場合)
まとめ
転職時のRSUの取り扱い:
| 項目 | 内容 |
| 未権利確定RSU | 多くの場合失効 |
| 権利確定済みRSU | 保有継続可能 |
| 転職年の税金 | 確定申告が必要な場合が多い |
| 外国企業への転職 | 二重課税に注意 |
重要なポイント:
- 事前に企業のRSU規程を確認
- 転職交渉で補填を検討
- 複数勤務の年は確定申告が必要
- 必要な書類は退職前に準備
転職はキャリアの一大イベントです。RSUの取り扱いを正しく理解し、税金面でのトラブルを避けましょう。