RSU売却損失の繰越控除|3年間の申告方法

RSU売却による損失の繰越控除方法を解説。3年間の繰越期間、損益通算の手順、確定申告での記入方法を具体例で説明します。

RSU売却損失の繰越控除|3年間の申告方法

はじめに

RSU(Restricted Stock Units)を売却した結果、損失が発生した場合、その損失は翌年以降に繰り越して控除することができます。しかし、正しい手続きを取らないとこの制度を利用できません。本記事では、RSU売却損失の繰越控除について、申告方法から具体的な手順まで詳しく解説します。

繰越控除の基本

損失の繰越控除とは

譲渡所得(株式売却による所得)で損失が出た場合、その損失を翌年以降3年間、繰り越して翌年以降の譲渡所得から控除できる制度です。

主な特徴:

  • 繰越期間:3年間(翌年から3年目まで)
  • 対象:譲渡所得の損失
  • 方法:確定申告が必要

RSUの損失が発生するケース

RSUで損失が発生する主なパターン:

パターン1:権利確定後の株価下落

  • 権利確定時株価:100万円
  • 売却時株価:80万円
  • 損失:20万円

パターン2:為替変動による損失

  • 米国株RSUの場合、円高で円換算損失
  • 権利確定時:1ドル=150円
  • 売却時:1ドル=130円

パターン3:取得費の計算上の損失

  • 手数料や税金を考慮した実質的な損失

損益通算と繰越控除の仕組み

損益通算(当年分の通算)

同一年内に複数の株式売却がある場合、損益を通算できます。

具体例:

銘柄損益
RSU(A社)▲100万円(損失)
株式(B社)+50万円(利益)
株式(C社)+30万円(利益)
合計▲20万円(損失)

結果: 当年は譲渡所得マイナス20万円

繰越控除(翌年以降の控除)

当年の損失は、翌年以降3年間にわたって繰り越せます。

具体例:

2025年:損失▲100万円発生
 ↓
2026年:譲渡利益+40万円 → 損失▲60万円を繰越
 ↓
2027年:譲渡利益+30万円 → 損失▲30万円を繰越
 ↓
2028年:譲渡利益+50万円 → 損失▲30万円を控除、利益+20万円

確定申告の手順

当年の損失申告

損失が発生した年の確定申告で、以下の手続きが必要です:

必要書類:

  1. 確定申告書B(第一表・第二表)
  2. 譲渡所得の内訳書
  3. 証券会社の「年間取引報告書」
  4. 損失繰越控除に関する明細書(添付)

記入手順:

ステップ1:譲渡所得の計算

売却収入金額:△△△円
取得費:□□□円
譲渡損失:▲○○○円

ステップ2:損失繰越控除の申告

  • 申告書第二表の「損失の繰越控除」欄に記入
  • 「譲渡所得の損失の繰越控除」として申告

繰越年度の申告

損失を繰り越した後の年度も確定申告が必要です。

手続きの流れ:

  1. 譲渡所得がプラスの年

- 繰越損失を控除して課税所得を計算

- 申告書に「繰越控除」として記入

  1. 譲渡所得がマイナスの年

- 新たな損失を加算

- 次年度へ繰越

記入例:

【2026年の申告書】
当年の譲渡所得:+500,000円
2025年からの繰越損失:-1,000,000円
控除後の譲渡所得:0円
翌年へ繰越す損失:-500,000円

具体例で学ぶ繰越控除

例1:シンプルなケース

2025年:

  • RSU売却損失:▲50万円
  • 他の株式売却:なし

対応:

  • 2025年の確定申告で損失50万円を申告
  • 翌年以降3年間で控除可能

2026年:

  • 株式売却利益:+30万円

計算:

譲渡所得:+300,000円
繰越損失:-300,000円(50万円のうち30万円を使用)
課税対象:0円
翌年繰越:-200,000円

例2:複数年にわたるケース

損失発生: 2025年に▲150万円の損失

年度譲渡所得繰越損失使用残繰越損失
2026年+40万円40万円▲110万円
2027年+20万円20万円▲90万円
2028年+100万円90万円(残り全部)0円
2029年+50万円対象外(3年経過)-

例3:損益通算と繰越の組み合わせ

2025年:

  • RSU売却:▲80万円
  • 他社株式売却:+30万円
  • 純損失:▲50万円

計算:

当年の損益通算:
  ▲80万円 + 30万円 = ▲50万円

繰越控除:
  50万円を翌年以降に繰越

注意点とよくあるミス

確定申告の期限に注意

重要: 損失の繰越控除を受けるには、損失が発生した年の確定申告が必須です。

  • 期限:翌年2月16日〜3月15日
  • 期限内申告がないと繰越不可
  • 還付申告でも繰越可能

対象となる損失の範囲

繰越可能な損失:

  • 譲渡所得の損失(株式等の売却損)
  • 雑所得の損失(一部の金融商品)

繰越不可能な損失:

  • 給与所得の損失(RSU権利確定時の税金は対象外)
  • 事業所得の損失
  • 一時所得の損失

特定口座と一般口座の違い

口座タイプ繰越控除
特定口座(源泉徴収あり)証券会社で自動計算、申告不要(選択可能)
特定口座(源泉徴収なし)確定申告で申請必要
一般口座確定申告で申請必要

まとめ

RSU売却損失の繰越控除のポイント:

  1. 繰越期間:損失発生翌年から3年間
  2. 申告必須:損失発生年の確定申告が必要
  3. 損益通算:当年の譲渡所得と通算可能
  4. 確定申告:繰越年度も申告が必要
  5. 期限厳守:期限内申告が絶対条件

損失が出た場合でも、正しい手続きを取れば税金を削減できます。諦めずに確定申告を行いましょう。

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