RSU・ESPP確定申告書の記入例|実際の書類を元に解説

RSU・ESPPの確定申告書記入例を徹底解説。第一表、第三表、外国税額控除の記入方法を実際の書類形式でわかりやく説明。

RSU・ESPP確定申告書の記入例|実際の書類を元に解説

RSUやESPPの確定申告を初めて行う方にとって、申告書のどこに何を記入すればいいのかは大きなハードルです。本記事では、実際の申告書に近い形式で、各欄の記入例を詳しく解説します。


1. 申告書の基本構成とRSUの記入箇所

確定申告書の全体構成

確定申告書は主に以下の表・付表で構成されています:

書類名用途RSU・ESPP関連
第一表所得金額・税額の集計給与所得・譲渡所得の記入
第二表所得の内訳・控除明細所得の内訳書の添付
第三表譲渡所得の明細売却益・損失の詳細
外国税額控除明細書海外で源泉徴収された税金の控除米国源泉税の控除申請

RSU関連の記入が必要な箇所マップ

【第一表】
├─ 給与所得欄 → RSU権利確定分(円換算後)
├─ 譲渡所得欄 → RSU売却益
└─ 外国税額控除欄 → 米国源泉税の控除額

【第三表(譲渡所得の内訳書)】
├─ 株式の譲渡所得
│  ├─ 収入金額 → 売却金額
│  ├─ 取得費 → 権利確定時の時価(TTMレート)
│  └─ 譲渡損失 → 売却損失(翌年以降へ繰越可能)

2. 第一表(所得金額等)の記入例

給与所得欄の記入

RSUの権利確定分は給与所得として扱われます。

【記入例】

第一表(所得金額等)

【給与所得】
支払を受ける者:○○株式会社
収入金額:      15,234,567円
給与所得控除後の金額:12,556,000円

※ 上記「収入金額」には以下が含まれます:
・基本給:                           12,000,000円
・RSU権利確定分(円換算):           2,234,567円
・ボーナス等:                        1,000,000円

記入のポイント:

  • RSUの権利確定分は、確定時の米ドル時価をTTMレートで円換算した金額を含めます
  • 源泉徴収票の「給与所得」欄に記載されている金額をそのまま転記します
  • 円換算レートは、権利確定日の前日のTTM(Telegraphic Transfer Middle Rate)を使用

譲渡所得欄の記入

RSUを売却して利益が出た場合は譲渡所得として申告します。

【記入例】

【譲渡所得】

① 株式等に係る譲渡所得等の金額
   課税譲渡所得金額:    450,000円
   (特別控除額:         0円)

※ 計算内訳:
・売却収入:             3,200,000円
・取得費:               2,750,000円
・譲渡所得金額:         450,000円

3. 第三表(譲渡所得)の記入例

第三表は譲渡所得の内訳を詳細に記入するための書類です。

株式の譲渡所得の記入

【記入例】

第三表 分離課税の譲渡所得等の金額の計算明細書

【株式等に係る譲渡所得等の金額の計算】

┌─────────────────────────────────────────┐
│ 譲渡した資産の種類: 外国株式(RSU)        │
├─────────────────────────────────────────┤
│ 銘柄名:              ABC Corporation    │
│ 譲渡年月日:          2025年6月15日      │
│ 所有期間:            1年6月(短期譲渡所得)│
├─────────────────────────────────────────┤
│ 譲渡価額(売却金額):     $21,333.33    │
│ 円換算額(TTM 150円):    3,200,000円   │
├─────────────────────────────────────────┤
│ 取得価額(原資):         $18,333.33    │
│ 円換算額(TTM 150円):    2,750,000円   │
├─────────────────────────────────────────┤
│ 譲渡所得金額:                450,000円  │
└─────────────────────────────────────────┘

取得費の計算方法

RSUの取得費は、権利確定時の時価で計算します。

【計算例】

取得費の計算:

権利確定時株価:    $100.00
付与株数:          100株
TTMレート:         150円
─────────────────────────
取得費 = $100 × 100株 × 150円 = 1,500,000円

※ 後日一部売却(50株)の場合:
取得費按分 = 1,500,000円 × 50株 / 100株 = 750,000円

損失の繰越適用時の記入

売却損失が発生した場合は、翌年以降3年間繰り越すことができます。

【記入例】

【譲渡損失の繰越】

当期の譲渡損失:          ▲200,000円
当期の譲渡所得との相殺:  ▲200,000円
(当期は相殺後の譲渡所得: 0円)

翌年以降への繰越損失:    0円
(※ 前期からの繰越損失200,000円は
    当期の譲渡所得450,000円と相殺済み)

4. 外国税額控除の記入例

米国で源泉徴収された税金は、外国税額控除として申告できます。

外国税額控除明細書の記入

【記入例】

外国税額控除明細書

【国外事業所得に係る外国税額】

所得の種類:給与所得(RSU権利確定分)
所得を得た年月日:2025年3月15日
外国の名称:アメリカ合衆国
─────────────────────────────────
国外所得金額:        2,234,567円
外国で課される税額:    335,185円
($2,234.57 × 22% withholding)

【控除額の計算】

外国税額控除の上限計算:

① 所得税額:              1,234,567円
② 国外所得の合計:        2,234,567円
③ 総所得金額:           15,234,567円
④ 控除上限 = ① × ② ÷ ③
          = 1,234,567 × 2,234,567 ÷ 15,234,567
          = 181,234円

実際の外国税額:          335,185円
控除可能額:              181,234円(上限額)
繰越控除対象額:          153,951円

証明書類の添付方法

外国税額控除を受けるには、以下の証明書類が必要です:

書類名入手先注意点
Form 1042-S証券会社(E*Trade等)米国源泉税の証明
給与明細(英文)自社人事部RSU権利確定の証明
売却明細書証券会社売却日・金額の証明

5. e-Taxでの入力例(画面説明)

e-Taxを使用する場合の入力手順を解説します。

画面1:所得の入力(給与所得)

【e-Tax画面:給与所得の入力】

□ 給与所得を入力する

┌────────────────────────────────────┐
│ 事業者名:○○株式会社              │
│ 支払い金額:15,234,567円          │
│ 源泉徴収税額:1,523,456円          │
│                                    │
│ ※ RSU権利確定分は既に            │
│   源泉徴収票に含まれています      │
└────────────────────────────────────┘

画面2:譲渡所得の入力

【e-Tax画面:譲渡所得の入力】

□ 譲渡所得を入力する(分離課税)

┌────────────────────────────────────┐
│ 【株式等の譲渡所得】              │
│                                    │
│ 銘柄名:ABC Corporation           │
│ 売却年月日:2025年6月15日         │
│                                    │
│ 売却金額:3,200,000円             │
│ 取得費:2,750,000円               │
│ 譲渡所得金額:450,000円           │
│                                    │
│ [+] 別の銘柄を追加                │
└────────────────────────────────────┘

画面3:外国税額控除の入力

【e-Tax画面:外国税額控除の入力】

□ 外国税額控除を受ける

┌────────────────────────────────────┐
│ 【国外所得の詳細】                │
│                                    │
│ 所得の種類:給与所得              │
│ 所得金額:2,234,567円             │
│                                    │
│ 【外国税額の詳細】                │
│ 国名:アメリカ合衆国              │
│ 国外所得に対する所得税額:335,185円│
│                                    │
│ [+] 別の所得・国を追加            │
└────────────────────────────────────┘

確認画面と送信前のチェックポイント

【送信前の最終確認画面】

□ 入力内容の確認

┌────────────────────────────────────┐
│ 【申告内容サマリー】              │
│                                    │
│ 給与所得:15,234,567円            │
│ 譲渡所得:450,000円               │
│ 所得合計:15,684,567円            │
│                                    │
│ 所得税額:1,234,567円             │
│ 外国税額控除:181,234円           │
│ 差引所得税額:1,053,333円         │
│                                    │
│ [確定して送信]  [修正する]        │
└────────────────────────────────────┘

送信前の必須チェック項目:

  • [ ] 給与所得にRSU権利確定分が含まれているか
  • [ ] 譲渡所得の取得費が正しく計算されているか
  • [ ] TTMレートは前日のレートを使用しているか
  • [ ] 外国税額控除の上限計算が正しいか
  • [ ] 証明書類の添付忘れがないか

まとめ

RSU・ESPPの確定申告は、第一表・第三表・外国税額控除明細書の3つが主な記入箇所です。

重要なポイント:

  1. 給与所得:RSU権利確定分はTTMレートで円換算して含める
  2. 譲渡所得:取得費は権利確定時の時価を使用
  3. 外国税額控除:米国源泉税の証明書類(Form 1042-S等)が必要
  4. e-Tax:画面に沿って順番に入力すれば簡単に申告可能

初めての方は、書類をそろえて丁寧に記入することで、確実に申告を完了できます。


次のステップ

申告書の記入例を確認したら、実際の入力に進みましょう。